喫煙経験があって、咳・痰が多くて、階段上ったりすると息切れがする!
もしかしたらあなたは慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructivre Pulmonary Disease)かもしれない!

今回はCOPDについて説明するよ。
目次
COPDとはどんな病気か
従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称。
・慢性気管支炎:2年以上にわたって3か月以上咳・痰がほぼ毎日続く状態
・肺気腫:肺胞(酸素を血液に渡す場所)が破壊された状態
長い経過で徐々に、息の通り道が狭まっていき、息切れが増悪していく肺の疾患です。
COPDの原因は?
COPDになる方の主な原因(9割)は、たばこの喫煙です!
喫煙者の1~2割の方が羅患すると言われています。

私は吸ってないんで大丈夫っす。

たばこの煙は吸っている本人より受動喫煙している人の方が多いから、COPDになるリスクは高くなるよ。

まーじっすか!もう最悪っす...。
たばこ以外の原因ってなんすか?
たばこ以外の原因は
・PM2.5などの大気汚染物質
・喘息
・乳幼児期の肺炎
・遺伝(親が喘息だったり、喫煙者の場合)

中国の大気汚染が話題になったのは、長年吸い続ければCOPDの危険性もあったからだね。
COPDの肺はどんな肺?
まず肺は空気の通り道(気道)とその末端の袋状の部分(肺胞)から構成されます。
肺の役割として、口から入った空気中の酸素を体の中に取り込み、二酸化炭素を口から排出します。
COPDになると気道(気管支)が閉塞してくるので息を吐き出しづらくなり、肺胞も壊れるので酸素を取り込みにくくなります。
息が吐きだしづらいという事は、吸った空気が肺の中に残った状態となるので、肺はのびて広がったまま。
さらに肺胞が壊れている為、本来の弾力も無く、伸びきった風船の様になります。

ほっそいストローの先に膨らんだ風船が付いているものを想像してください。
それに空気を送り込んだり、吸ったりするのは大変です。
COPDの患者さんは呼吸をするだけですごいエネルギーを必要とします。
COPDの初期症状ってあるの?
COPDの初期症状として風邪の様な症状がでます。主に咳や痰が続きます。
また、呼吸機能の低下により息切れ・動悸・痩せるなどの症状が出てきます。

喫煙をしていて、風邪を引きやすくなったらCOPDになり始めているかも?
COPDの診断は?どんな検査するの?
COPDの診断は、スパイロメーターを使用して呼吸機能検査によって行います。呼吸機能検査は、COPDの診断には欠かせない検査で、肺活量検査と努力性肺活量検査があります。

努力性肺活量検査で測定するもの
・1秒量(FEV1):最初の1秒間の努力努力呼気量
・努力肺活量(FVC):最大に呼出した気量

計算により求められるもの
・1秒率(FEV1%):最初の1秒間で呼出された量の割合
1秒率(FEV1%)=1秒量(FEV1)÷ 努力肺活量(FVC)×100
1秒率が肺活量の70%未満の時にCOPDと診断されます。
フローボリューム曲線によって疾患ごとの異常なパターンがあります。
COPDでは図の右の様な曲線となります。

COPDは肺気腫のため、肺のコンプライアンス増加(弾力の低下)しています。
この状態の肺で息を呼出すると、肺や胸壁、横隔膜からの陽圧が肺にかかっても中には伝わりにくくなっている為に呼気流速が低下します。
肺気腫が進行すると、細気管支を支えていた肺胞(の壁に存在する弾性繊維)が消失し、呼気時に細気管支は支えを失い、閉塞するために気道抵抗が増大します。
つまり呼出がしづらくなるため、曲線は低下します。
また病気の進行に伴い、1秒量が予測値(年齢、性別、体格が同じ日本人の標準的な値)よりも低くなっていきます。
COPDの病期は予測1秒量に対する比率(対標準1秒量:%FEV1)に基づいて分類されます(下記の表を参照)。
%FEV1は、年齢、性別、身長を基にあらかじめ算出された健常者の予測1秒量に対する患者の1秒量の比率です。
病期 | 1秒量の年齢標準に対する割合 |
Ⅰ期 | 80%≦%FEV1 |
Ⅱ期 | 50%≦%FEV1<80 |
Ⅲ期 | 30%≦%FEV1<50% |
Ⅳ期 | %FEV1<30% または %FEV1<50%かつ慢性呼吸不全、右心不全合併 |

1秒率を表すFEV1%と類似した表示であるため注意が必要だね。
当院でCOPDで実施されるその他の検査
・酸素飽和度検査
・血液ガス検査
・胸部画像検査
・心電図
・6分間歩行試験
・上肢・下肢筋力
・ABI/PWV
・体組成検査
・骨密度検査
・QOL/ADL評価
・活動量測定
COPDの治療は?
COPDは、その重症度に応じて推奨される治療法があります。
すべての病期において基本となるのが、禁煙とワクチンなどの感染予防、および身体活動性の向上・維持です。

インフルエンザや風邪により症状が悪化する事がある為、感染予防はかなり大事ですね。
次に重症度に応じて薬物療法と呼吸リハビリテーションが行われます。
さらに重症化していくと、酸素療法や換気補助療法が行われます。


COPDでもHOTやNPPVを始めるのはかなり重症な患者という事ですね。
業者の立ち合い制限により臨床工学技士の出番は増えてくるのかなと思ってます。
まとめ
今回は慢性閉塞性肺疾患(COPD)について簡単に紹介しました。
日本人の喫煙率は年々下がってきてはいますが、高齢者世代の喫煙率は8割を超えていたことを考えればまだまだ患者さんは多い状況です。
日本たばこ産業の調査で、日本の喫煙者数は1400万人と諸外国に比べまだまだ高い状況です。
喫煙者の1~2割がCOPDとなったら、140~280万人は症状がでる可能性があります。たばこ以外にもPM2.5などの空気汚染により増える可能性もあります。
今までは医師・看護師・リハビリ職が中心でしたが、臨床工学技士もチームの一員として活躍する事が増えるのではと思っております。
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