人工呼吸器の設定でよく聞くけど、いまいちピンと来ない漸減波と矩形波の違いを紹介します。
目次
漸減波
漸減(ぜんげん)とは「しだいに減ること」という意味です。
つまり漸減波とは吸気流量が吸い始めがピークで、次第に減っていく波形である。
吸気波形の見た目は三角形の様な形になります。


人間の生理的な呼吸の吸気波形は漸減波なので、人工呼吸器との同調性は漸減波の方が良好の場合が多い。
矩形波
矩形(くけい)とは「すべての角が直角の四辺形、長方形」という意味です。
矩形波は吸気流量が吸い始めから吸い終わりまで一定の流量が保たれる波形である。
吸気波形の見た目は四角形の様な形になります。

換気制御方式とそれぞれの波形の関係
人工呼吸器の換気制御方式は、量規定換気(VCV)と圧規定換気(PCV)に分けられます。

量規定換気:VCV(volume control ventilation)
VCVは「一回の換気で患者に送るガスの量を規定して送気する換気制御方式」です。
更に一回換気量を送気する速度(吸気流量)と吸気流量の入れ方を選択できます。
この吸気流量の入れ方が前述にある漸減波と矩形波です。
圧規定換気:PCV(pressure control ventilation)
PCVは「一回の換気で患者に送るガスの量(吸気流量)を調整し、一定の吸気圧を維持する換気制御方式」です。
吸気の始めに設定圧に到達し、その後は設定圧を一定に維持するために流量次第に減少させていきます。
つまりPCVの流量波形は漸減波の形になります。
漸減波のPCVは、患者との同調性が良好であるほか、吸気圧を維持するために「最高気道内圧を低く抑えられること」がメリットとして挙げられます。
VCVで漸減波を選択する際の注意点!
VCVで漸減波を選択すると、PCVの流量波形に類似します。その為、患者との同調性が良好となるというメリットがあります。
しかし、吸気努力が強い患者の場合、吸気流量が不足したり、矩形波の場合と比べて吸気時間が長くなりやすくなります。(設定した換気量を送気するため)
結果的に呼気時間が短くなる事に注意をする必要があります。

VCVで漸減波を選択する場合はメリットとデメリットをよく理解したうえで使用した方がいいですね。
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